2025年6月、首都圏のマンションで大規模修繕工事をめぐる衝撃的な事件が起こりました。
修繕委員会に施工会社の社員2人が住民になりすまして参加し、住居侵入容疑で逮捕されたのです。
逮捕されたのは、大阪府東大阪市の施工会社の社員。
彼らは「会社の利益になると思った」と供述しており、会議では住民名を名乗って出席。
しかし、他の住民が不審に思い本人確認を求めると、1人は逃走、もう1人は住民でないことを認めました。
この事件を通じて改めて浮き彫りになったのは、大規模修繕工事に潜む「なりすまし」問題です。
■ なりすましの手口と背景
今回のように、施工会社の社員が住民を装って会議に出席する直接的な手口のほかにも、
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合法的な“住民化”
施工会社が部屋を購入して社員を住ませ、正規の住民として委員会に参加するケース -
代理参加・報酬付きなりすまし
住民に報酬を渡し、委員会情報を入手したり代理出席させるケース
など、複数のパターンが存在します。
背景には、大規模修繕工事が数千万円から億単位のビジネスであること、それにもかかわらず、多くの区分所有者が興味を持っておらず一部の区分所有者で決まってしまう状況。
また業界全体に根強く残る癒着体質や談合体質があることが挙げられます。(管理会社が施工会社と癒着していることも多々あります。)
■ 管理組合が被るリスク
なりすましが起こることで、
✔️ 工事発注の公平性が失われる
✔️ 住民の信頼崩壊、管理組合の形骸化
✔️ 不正受注による高額工事や欠陥工事の温床
✔️ 後々のトラブルや訴訟リスク
といった深刻な問題が発生します。
■ どう守る?管理組合・理事会の防衛策
この事件を他人事にせず、以下の取り組みを徹底することが大切です。
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本人確認の厳格化
会議参加者の本人確認を徹底。顔写真付き身分証で確認する。 -
管理規約の整備
委員会参加資格や確認方法を規約に明記。 -
管理会社立ち合いの強化
第三者的立場としての管理会社立会いを徹底する。 -
外部専門家による監査・セカンドオピニオン
工事内容や見積もりの妥当性を第三者に確認してもらう。 -
施工会社選定時の信頼性チェック
過去の施工実績やトラブル歴、会社体制を必ず確認する。
■ まとめ
大規模修繕工事は、住まいの資産価値を守るための重要なプロジェクトです。
しかし同時に、莫大な金額が動くため、不正や談合が入り込む余地も大きいのが現実。
今回の事件は氷山の一角に過ぎません。
「うちは大丈夫」と油断せず、理事会・管理組合として適切な防衛策を講じることが、
将来にわたって安心できるマンション管理へとつながります。
富山には 富山県マンション管理士会当社でも、マンション管理組合様向けに第三者的立場での工事内容チェックやセカンドオピニオンサービスを行っています。ご興味のある方は、お気軽にご相談ください。
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令和7年7月4日
ViVi不動産株式会社 矢郷修治